ページトップ

カーボンニュートラル

カーボンニュートラルの時代へ

2021.12.21

 地球温暖化は、地球全体の気候を大きく変える「気候変動」を引き起こします。既に世界各地では、自然環境や人の暮らしに、そのさまざまな影響や被害が現れ始めており、その深刻さから近年は「気候危機」という言葉も使われるようになりました。こうした問題は、温暖化への対策を十分に行なわない場合、さらに重大化し、取り返しのつかない被害をもたらす危険性が指摘されています。


 このままの経済活動を続けた場合には、21世紀末に4度前後の気温上昇が予測されており、その結果として、取り返しのつかない影響がもたらされると予測されます。
 こうした影響を防ぐため、これまで世界各国による国際交渉が進められ、2015年に「パリ協定」が採択されました。
 これは、産業革命からの平均気温の上昇を2度未満に保ちつつ、1.5度に抑える努力を追求することを、世界の目標として定めたものです。現在までに、世界の平均気温は産業革命前よりもすでに1度上昇しています。

※ 1986~2005年の世界の平均気温を基準とする。影響は、気温変化の速度や今後の対策の内容により異なる。(IPCC AR5 WG2 SPMを基に作成)

|気温上昇による8つのリスク

①高潮や沿岸部の洪水、海面上昇による健康障害や生計崩壊のリスク

②大都市部への内水氾濫による人々の健康障害や生計崩壊のリスク

③極端な気象現象によるインフラ機能停止

④熱波による死亡や疾病

⑤気温上昇や干ばつによる食料不足や食料安全保障の問題

⑥水資源不足と農業生産減少

⑦陸域や淡水の生態系、生物多様性がもたらす、さまざまなサービス損失

⑧同じく海域の生態系、生物多様性への影響


 上記のリスクは、温度の上昇度合いによって、さまざまな影響を引き起こす可能性があります。

A:暑熱や洪水など異常気象による被害が増加
B: サンゴ礁や北極の海氷などのシステムに高いリスク
マラリアなど熱帯の感染症の拡大
C:作物の生産高が地域的に減少する
D:利用可能な水が減少する
E: 広い範囲で生物多様性の損失が起きる
F: 大規模に氷床に消失し海面水位が上昇
G: 多くの種の絶滅リスク、世界の食糧生産が危険にさらされるリスク


|「適応」に直ちに取り組む必要性

温暖化による悪影響は、産業革命前に比べて気温上昇を2度未満に抑えれたとしても、でに回避できない影響があります。
温暖化により引き起こされる現象に、対応する手段も明記されており、これを「適応」と言います。(IPCCの第5次評価報告書)
 異常気象や食糧の生産が落ちるといった温暖化の影響は、「適応」の手段をとっていくことによってかなり軽減されることがわかっています。
 温暖化は、原因である温室効果ガスの排出量を削減する努力だけではなく、影響に「適応」する準備も同時に行っていかなければならないところまで来ています。


|2050年「カーボンニュートラル」実現へ

 カーボンニュートラル(環境の用語)とは、簡単に言えばCO2排出量がゼロの状態のことです。排出量-吸収量=0(ゼロ)ということです。


「植物や植物由来の燃料を燃焼してCO2が発生しても、その植物は成長過程でCO2を吸収しており、ライフサイクル全体(始めから終わりまで)でみると大気中のCO2を増加させず、CO2排出量の収支は実質ゼロになる」という考え方。


|2020年10月 菅総理の所信表明演説

「我が国は、2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを、ここに宣言いたします」
 日本が目指す「カーボンニュートラル」とは・・・・・
”温室効果ガス”CO2、一酸化二窒素、フロンガスの排出をゼロにすることを述べているわけです。


(出典)国立環境研究所 温室効果ガスインベントリオフィス「日本の温室効果ガス排出量データ」より経済産業省作成

 この宣言の背景には、年々深刻さを増す地球温暖化の問題と、「パリ協定」が大きく関係しています。
 地球温暖化対策に関する国際的な枠組みである「パリ協定」は、2020年から本格的な運用が始まり、地球温暖化対策として各国に、2050年までにCO2排出量の大幅削減やカーボンニュートラルの実現を求めています。 
 これに応えるかたちで、多くの国は2050年までのカーボンニュートラルの実現を宣言しており、脱炭素社会に向けた動きが加速しています。
 日本もそうした国際社会の動きに追随しており、国内では現在、パリ協定の目標に沿った地球温暖化対策の見直しと施策が進められています。


|排出を全体としてゼロにするとは?

「全体としてゼロに」とは、「排出量から吸収量と除去量を差し引いた合計をゼロにする」ことを意味します。つまり、排出を完全にゼロに抑えることは現実的に難しいため、排出せざるを得なかったぶんについては同じ量を「吸収」または「除去」することで、差し引きゼロ、正味ゼロ(ネットゼロ)を目指しましょう、ということです。これが、「カーボンニュートラル」の「ニュートラル(中立)」が意味するところです。
 そのためには、まずは排出する温室効果ガスの総量を大幅に削減することが大前提となります。

(出典)左図は、国立環境研究所 温室効果ガスインベントリオフィス「日本の温室効果ガス排出量データ」より経済産業省作成

|いつまでに、カーボンニュートラルが必要?

「パリ協定」では、「今世紀後半のカーボンニュートラルを実現」するために、排出削減に取り組むことを目的とするとされています。
 また、産業革命以降の温度上昇を1.5度以内におさえるという努力目標(1.5度努力目標)を達成するためには、2050年近辺までのカーボンニュートラルが必要という報告がされています。

-国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の「IPCC1.5度特別報告書」より-