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住宅性能表示制度について(既存住宅編)

2022.03.14

▶既存住宅の住宅性能表示について

1.中古住宅の「購入」、「リフォーム」に役立つ!
2.「安心」できる!
3.既存住宅の性能の評価
4.個別性能評価9項目


1.中古住宅の「購入」、「リフォーム」に役立つ!

☛どのような性能の住宅なのか分かるので「安心」

 既存住宅の住宅性能表示制度は、既存住宅売買の当事者間で物件情報を共有化し、契約の透明化と円滑化を目的の一つとしています。

 既存住宅を売買するとき、住宅の現況(家の劣化の状況や不具合)、さらに、持っている性能が分かれば、安心して売買できます。

☛どの部分を修繕・リフォームすればよいのかが把握できる

 既存住宅の住宅性能表示制度は、どの部分を直せばよいのかを把握し適切な修繕・リフォーム、維持管理を支援することを目的としています。

 リフォーム等の工事をする前に、施行業者以外の第三者に住まいの傷み具合を検査してもらうことで、安心・適切なリフォームが可能になります。また、リフォーム後の状況を確認する上でも有効です。

☛この制度の注意点

1.この制度は、既存住宅の検査時点の状態について、評価・表示する制度です。
当該住宅の新築時の瑕疵担保責任及びアフターサービスとは関係ない制度です。

2.この制度に基づいて行われた評価と表示内容は、評価機関が、利用者との評価業務に関する契約内容に基づき、責任を負うものです。

3.マンションなどでは、設備や階段・廊下などの共用部分も適時・適切な検査を受けることで、マンションの適正な管理が図れます。

4.新築の性能表示制度では、施工段階のチェックも行いますが、既存住宅の性能表示制度では、外観の目視を中心としたチェックになるため、チェックできる範囲には限界があります

5.建物の瑕疵(欠陥)の有無を判断するためのものではありません

6.建物の状態は時間と共に変化しますので、評価結果は、検査・評価の時点のものであり、その後の変化がないことを保証するものではありません
 したがって、適切な維持管理のためには、定期的・継続的な評価が効果的です。

7.既存住宅の売買時に制度を利用する場合、評価書の内容を契約内容とする旨の合意がなければ、売主が買主に対して検査時の状態で引き渡すことを約束したことにはなりません


2.「安心」できる!

☛第三者機関の評価員が住宅性能をチェック

 検査・評価のチェックするのは、国土交通大臣に登録されている登録住宅性能評価機関(以下「評価機関」といいます)に所属する評価員が行います。評価員とは、建築士等であって所定の講習を修め登録を受けた者です。

 評価機関や評価員は、不動産売買やリフォーム工事の当事者ではない第三者なので、客観的な評価結果が得られます。

 評価結果は、現況検査・評価書(住宅品確法上の建設住宅性能評価書に該当します)に示されます。

☛専門機関によるトラブル対応

 既存住宅の性能評価を受けると、万一、その住宅にトラブルが起きても指定住宅紛争処理機関(各地の単位弁護士会等)が迅速・公正に対応してくれるので、安心です。

 指定住宅紛争処理機関は、国土交通大臣が指定した機関で、裁判によらず住宅の紛争を円滑・迅速に処理するための機関です。

また、住宅保証機構㈱の既存住宅保証制度の検査結果としても活用できます。

住宅保証機構㈱HP


3.既存住宅の性能の評価

☛現状の劣化や不具合が分かる

不動産取引に関する知識│一般社団法人 大阪府宅地建物取引業 ...

 現況検査では、外壁などに生じている「ひび割れ」や床の「傾き」、壁や天井の「漏水等のあと」などについて検査を行います(部位等・事象別の判定)。

 また、住宅の劣化等の状況を容易に把握しやすいように、一定の項目の個々の検査結果に基づいて、その住宅全体の総合的な判定も行います(総合判定)。

 オプションとして、木造の部分を有する住宅の場合、土台や柱などの腐朽や蟻害の詳細検査(特定現況検査)も用意されています。

☛既存住宅の性能が分かる

 評価を受ける性能項目は、個別に選択できるので、たとえば、「地震や風などに対する強さ(構造の安定)」の内、耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)に関する性能だけの評価を受けることも可能です。

 オプションとして、新築住宅の性能表示制度と同様の個別性能ごとの性能評価も受けることができます(個別性能評価)。


4.個別性能評価9項目

1.地震などに対する強さ
・地震などが起きた時の倒壊のしにくさや損傷の受けにくさを評価します。等級が高いほど地震などに対して強いことを意味します。
・等級1でも、建築基準法レベルの住宅なので、大地震が起きても倒れてしまうことはまずありません。
・このほかにも、強風や大雪に対する強さに関する評価や、免震住宅であることを表示するものもあります。

2.火災に対する安全性
・住宅の中で火事が起きたときに、安全に避難できるための、燃え広がりにくさや避難のしやすさ、隣の住宅が火事のときの延焼のしにくさなどを評価します。

3.柱や土台などの耐久性
・構造躯体に使用する材料の劣化を軽減する(劣化の進行を遅らせる)ための対策がどの程度手厚く講じられているかを評価します。

4.維持管理、更新対策への配慮
・配管類(水道管やガス管、排水管)は一般に構造躯体の修繕などを実施するよりも早く取り替える必要があります。
 配管の点検や清掃のしやすさ、万一故障した場合の取り替えのしやすさなどを評価します。等級が高いほど配管の清掃や取り替えがしやすいことを意味します。

5.省エネ対策
・構造躯体の断熱化の程度や設備機器等によって使用されるエネルギーの削減のための対策の程度を評価します。

6.空気環境
・空気中のホルムアルデヒド等の化学物質の濃度などを測定します。
・住宅の中で健康に暮らすためには適切な換気が必要なので、どのような換気設備が整えられているかについても評価します。
・住戸における飛散のおそれのある吹き付け石綿、吹き付けロックウールの有無を表示します。 
・空気中の石綿の粉じん濃度などを測定します。

7.光・視環境
・東西南北及び上方の5方向について、窓がどのくらいの大きさで設けられているのかを評価します。

8.高齢者等への配慮
・高齢者や障害者などが暮らしやすいよう、出入り口の段差をなくしたり、階段の勾配を緩くしたりというような配慮がどの程度されているかを評価します。

9.防犯対策
・外部開口部(ドアや窓など)について、防犯上有効な建物部品や雨戸等が設置されているかの侵入防止対策を評価します。